三宅久之氏よ佐藤優氏を見習って下さい
2010年7月26日
宇佐美 保
私は、「東京新聞(5月18日)」を見てびっくりしました。
(しかし、手元にその新聞が無いので、官房機密費を追及している『週刊・上杉隆』から、引用させて頂きます)
政治評論家の三宅久之氏は、中曽根内閣時代、藤波孝生官房長官の秘書から100万円の資金提供があったことを認めた上でこう答えている。 〈藤波氏が予定していた二回の講演会に出られず、代わりに講演し、百万円(講演料)をもらったことがあった。しかし、自分の信条からして恥ずかしいことはしていない。お金の出所が官房機密費かどうかは考えたこともない〉(東京新聞) |
この三宅氏が手にされたお金が機密費か否かはともかく、政治家の2回の講演の代役で「百万円(講演料)」(私の感覚ではとてつもなく多額)を簡単に受け取ってしまう三宅氏の神経に私は驚いたのです。
そして、上杉氏は次のように続けられておられます。
ところが、三宅氏は「週刊ポスト」の筆者の取材記事に対してはこう答えている。 「(代理講演を)引き受けることにしたら秘書が100万円を持ってきた。藤波のポケットマネーだと思って受け取りました。領収証も書いていない」 これこそ、「政治とカネ」の問題である。内閣官房からの領収書のないカネは、すなわちそれが機密費である可能性を限りなく高くする。 さらに、領収書を受け取っていないということは、税務申告を怠っている可能性もあり、所得税法違反の容疑さえも芽生える。 |
更に、「週刊ポスト」(2010.5.28号)には次のように書かれておられます。
……後日、改めて取材を 申し入れると、三宅氏はこう答えた。 「第2次中曽根康弘内閣で官房長官になった藤波孝生(在任83〜85年)は早大の後輩で、『急に忙しくなって、約束していた2つの講演ができないので、代わりにやってくれませんか』と頼んできた。引き受けることにしたら秘書が100万円を持ってきた。藤波のポケットマネーだと思って受け取りました。領収書も書いてない。 |
おかしいですよね〜〜! 大学の後輩の窮状を救うのなら、無料で引き受けるのが、人の常ではないのでしょうか? それに、政治家のポケットマネーが、100万円もあるとの認識には、又、驚かされます。 そもそも、政治家に収入は、国民の税金ではありませんか? それ以外の収入としたら、支持者たちのカンパ? それとも、表立って外には出せないいわくつきの金? |
いずれにしても、(後輩の)政治家から、領収書も書かずに100万円も手にして、当然至極の態度を取られる頭脳の中身が信じられません。
更に、「週刊ポスト(2010.0730号)」には次の記述を目にします。
……ここでポストの記者は一度電話を切ったが、ある疑問点が浮かんだ。かつて『週刊現代』(01年8月11日号)が機密費について報じた際、三宅氏の「中曽根内閣の時に税制調査委員会に入るよう頼まれて断わりましたが、そのときに『そうおっしゃらないで』と100万円持ってきましたよ。知恵を出した謝礼として受け取りました。機密費かどうかは分かりませんよ」とのコメントを掲載していた。先ほどの取材内容と同時期のことと考えられる。 証言の食い違いについて、確かめなければならない。 記者は改めて電話した。 「僕はそんなことを答えた記憶はないよ。だいたい、税制調査会の時は、いってきたのは、藤波だったかもしれないけど、中曽根さんの強い意向だということで、(中略)断わったということはない。最初からメンバーですよ。そんな、(断わって)謝礼を受け取ったなんて事実無根です」(編集部で確認したところ、中曽根内閣当時、三宅氏は税制調査会の特別委員を務めていたことがある) |
なんだか変ですよね?
同じような時期に、藤波氏がらみで三宅氏に100万円が2度も渡ったのでしょうか?
それとも、1度貰った(機密費の?)100万円の口実として、初め「税制調査会の謝礼」といったのを忘れ、次の時には「講演の代役代」との別の口実が口から出てしまったのでしょうか?
なにしろ、これら適当な口実で、その場を取り繕っていれば、マスコミの話題(追求)は、別な事件に移ってしまうのが常なのでしょうから!
それよりも、『週刊ポスト(5月28日号)』に掲載されている平野貞夫氏(元参院議員)の次の談話からすれば、マスコミ人全体が同じ穴おむじなで、煩く付きまとう上杉氏らを適当にあしらってしまえばそれで一巻の終わり!
……担当記者を連れて、赤坂や銀座の料亭へ行ってクラブへ行って……ランクは中級でしたがね。それから記者たちはこちらが用意した「女」とホテルに泊まってました。私は途中で抜けるのですが、園田さんから「ちゃんと最後まで接待せんか」と怒られたこともあります。その費用をこちらが持ち、1度に20〜30万円、月に1回程度といった感じでやっていました。 |
そして、このような三宅氏がテレビなどで持て囃されているのですから、今の日本はどうなってしまったのでしょうか?
こんな「濡れ手に粟」のように、100万円だ、200万円だのを手にする三宅氏とは異なって、
この暑い夏の炎天下で、1冊300円の雑誌「ビッグイシュー日本版」を路上に立って、 (1日の収入は、1冊売って160円ですから、20冊売れば、3200円です) |
そして、その「ビッグイシュー日本版:116号(2009年4月1日発行)」には、佐藤優氏の次の言葉が記載されています。
……そんな私は今、日本という国家が崩れつつあると強く感じています。セーフティネットなくして断行された新自由主義政策のせいで、この国はボロボロになっているのです。モノのように切られる派遣労働者、働いても働いても生活できないワーキングプア、貧しくて結婚できない、子どもがもてない若者たち……個人の努力ではどうすることもできない構造的貧困を放置し、このまま新自由主義政策を続けるなら、この国は崩壊するでしょう。 国家を崩壊させないためにできることを 精いっぱいやる……それは官僚から作家と立場が変わった今も変わりません。新自由主義への抵抗として、私は自分に課している小さなことがあります。それは原稿料の多寡で仕事を選ばないことと、講演の依頼には原則として無償で応じること。もちろんお金はほしいですし、少し話をするだけで大金がもらえる講演は魅力がある……だからこそ危ないんです。新自由主義に抗うため、一人ひとり小さなことを積みかさねれば、国家の崩壊は防げると私は信じています。 |
この「講演の依頼には原則として無償で応じる」を御自分に課しておられる佐藤優氏の爪の垢を煎じて三宅氏に飲んで頂きたいものです。
更には、「週刊ポスト(2010.5.28号)」には又、次の記述があります。
……「永田町の常識」に従ったことを認めたのは俵考太郎氏である。 「私はこの四半世紀、政府の様々な審議会委員を務めてきました。日当は1万3800円で、往復のタクシー代にもならない。政府としては私に苦労をかけたと思っていただろうから、半年に一度ぐらいずつ官房長官などが数十万円を持って挨拶に来ることはありました。こういうお金をもらっていたのは私だけではない。 それを否定するなら嘘だと思う。ただし、野中さんがいうような『盆暮れに500万円ずつ』というのは(野中氏が所属していた)経世会のマナーだと思う。私は野中さんから何も頼まれたことはないし、お金をもらったこともない」 |
俵考太郎氏は「日当は1万3800円で、往復のタクシー代にもならない」との御見解ですが、 電車では駄目なのでしょうか? |
電車で行けば、ビッグイシュー販売員の方よりもずっと多額のお金を手にします。
“政府としては私に苦労をかけたと思っていただろう”と思っておられても、 「半年に一度ぐらいずつ」の謝礼も拒否されて手弁当主義で「政府の様々な審議会委員を務めること」は、 佐藤優氏の「講演の依頼には原則として無償で応じる」と同様にノーブレス・オブリージでは御座いませんか!? |
(補足)
先日、上杉隆氏がゲスト出演され官房機密費について語られた朝日ニュースターの番組「宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ」の番組終了のテロップが出た後、上杉氏の“小学館もビビっていますから”のつぶやきが聞こえて来たので、「週刊ポスト」発行元の小学館、そして、上杉氏にエールを送る思いで、この文を書きました。
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